「風力発電と光触媒の現状」 (第27回新素材・新技術研究会・例会) 日 時:平成15年12月19日(金) 13:30〜16:40
1.講演第1部「環境問題と風力発電」 三菱重工業(株)長崎造船所 風力発電事業グループ主幹技師 勝呂幸男 氏 地球の温暖化と異常現象はすなわちエネルギー問題であり、環境を改善しながら人類が進歩を続けるための施策の一つが再生可能エネルギーの開発と利用である。風力発電は再生可能エネルギーの中ではコスト競争力が期待でき、もっとも実用的・効果的とされ、世界中で実用化中で、風力発電装置の導入量は近年急成長中である。三菱重工業は1980年以来今日までに製作中のものも含め、総出力870MWの機器を開発・納入してきた。講演では、地球環境問題に始まり、世界の風力発電の取り組み状況、風資源の状況、風力発電機の仕組み、開発と設計・製作の歴史および今後の課題など広範なテーマについて解説があり、さらに過去におけるサイクロン、ハリケーン、台風等の突風等による破損事例、落雷対策の紹介があり、最後に「風力発電装置は21世紀の主力発電装置となるであろうが、未だあらゆる面で成長途上で、再生可能エネルギーの送り手として更なる技術革新が必要である」と結ばれた。 2.講演 第2部「光触媒の特徴と応用事例」 三井鉱山(株)建設資材事業部課長 黒山時房 氏 代表的な光触媒物質はアナターゼ型の酸化チタンであり、光を当てることにより強い酸化反応や還元反応(光触媒反応)を起こす。その効果は分解性と親水性で、前者は臭いや雑菌の分解、後者は汚れの除去をもたらす。基本的な適用機能は、空気浄化、水浄化、防汚・防曇、抗菌などで、光触媒酸化チタンの応用分野は、住宅(内外装)、電気製品、車両、医療、水・土壌処理など多技にわたっている。三井鉱山(株)の「ミラクルチタン光触媒コート」は水溶性酸化チタン溶液を専用噴霧機で基材に塗布・乾燥させ、紫外線を利用して有機物分解やセルフクリーニングを行う、環境浄化システムの総称で、光触媒無活性で基材への密着性のよい非晶質酸化チタンを含む水溶液「P溶液」を基材に塗布(保護層)したのち、非晶質酸化チタンと光触媒高活性の結晶状態の酸化チタンを含む水溶液「M溶液」を塗布(光触媒層)する。実際の適用例として、防汚目的に屋外構造物の外壁への適用、シックハウス症候群対策(脱臭目的)として学校の教室への適用、抗菌目的で病室への適用例などを紹介した。なお可視光応答型溶液等の開発にも取り組んでいる。 3.挨拶 上記2講演終了後、当研究会会長の田中良平教授から挨拶があった。 (出席者: 48名) (作成 遅沢浩一郎) |