第26回新素材・新技術研究会
1.日時 平成15年2月5日(水) 13:30〜16:00
2.場所 愛知産業(株)会議室
3.講演概要
第
1部(13:40〜15:00)
「応用可能性の大きい ミューチップ
とその事業展開」
(株)日立製作所
ミューソリューションズ ベンチャーカンパニー
カンパニー長 兼 CEO 井村 亮
NHKで放映された「ミューチップとは何か」をまず上映され、全体像が紹介された。NHKで粉末状ICと紹介されたことからも判るように、本体はサイズ0.4mmx0.4mm、厚さ60μの128ビツト読み出し専用メモリーで、10の38乗個のユニーク番号が書き込める。ICにはユニーク番号のみで、詳細情報はコンピューターで保存することにより「物と情報が管理できる」ことになる。生産・流通・食の安全等のトレーサビリティの確保に有効である。開発の発端は、偽札防止のために紙幣(厚さ100μ)に梳き込んで使用できるICを開発することを目的に研究・開発されたもので、8インチのウエハーから20万個のICが製造でき低コスト化を達成している。このICは2.5GHzを使用した無線IC(非接触IC)で、120℃の温度まで動作保証されており、既に各種の用途に対して適用が検討されている。適用例として、製鉄会社での鋼板の識別、レンタルモップ会社のモップ識別、万国博覧会のチケツトの識別、薬瓶の識別、ブランド商品の識別、パスポートの写真の張り替え防止、コンビニの商品管理等多くの例を挙げて解説された。
第
2部(15:10〜16:00) 「会長談話」
新素材・新技術研究会会長、東工大名誉教授 田中 良平
重点地域技術研究開発として、「高融点金属系部材の高温加工技術」(高効率発電用部材創製技術開発)のプロジェクト概要を説明され、原子力に変わる電力供給源としての火力発電として二酸化炭素排出量の最も少ないLNGコンバインド発電を高効率で使用するために、高温・高圧操業が必要で、そのための金属材料としてNb合金の可能性を解説された。Nbは価格はNiの十倍であるが、地球上の存在量が多く、融点が比較的高く、靱性が良い金属である。ガスタービンの出口温度が熱効率に影響するが、現在は1300〜1500℃程度で空気冷却で使用しており熱効率は50%程度であるが、蒸気冷却、更には無冷却で使用できる合金が開発されれば更に熱効率が向上する。そのために高温に耐える超高温耐熱材料の開発が必須で、Nb合金のうち、Nb-16Si-5Mo-15W-5Hf合金では1,500℃で100時間のクリープ破断強度は150Mpを達成している。1500℃で1万時間の酸化損耗量については、Nb基合金に適用する耐酸化コーティングが検討が行われている。本プロジェクトは平成15年度継続が決定しており、現在詳細計画を立案中である。